100%ジュース
言葉はいらなかった。僕の想いも、真冬の想いも。説明なら後からついてくる。今はただ、夏の空気、河原に溢れんばかりのすごい人の波、はぐれないように、繋いだ手、汗だらけのシャツ、色とりどりの屋台、僕のハンカチに座る真冬、打ち上がる赤、青、緑、色とりどりの名前も知らない花火たち、一瞬の命、それに見とれる人々。花火の光に浮かんでは消える、真冬の顔。だけどもう、近くにいるのに果てしなく遠く感じる距離は二人の間には無かった。