哀し


「愛美、頑張れ。」

練習が終わってカナが肩をたたく。

「カナあー。」

どうやら私はクラスの代表になってしまったらしくて
打ち合わせやらなんやらと出ては話したことをいちいち伝えなくてはいけないらしい。

「まあまあ、待っとくからさ。」
「クレープおごりで。」
「それは考えておくわ。」
「薄情もの!」


「おい。一年代表とっとと会議室行くぞー。」

カナと話していると首に腕が回されて引っ張られた。

「ちょっと。やめてよくさい。」
「お前なー俺一応先輩なんだぞ。」
「先輩ならいやがってる後輩を無理やり代表になんかしないでしょ。」
「しちゃうところが俺らしいっていうかなんというか。」
「てかいつまで腕回してんだよ。くさいってーの!」
「はいはい。早くいくぞ。」

なんなの。一応初対面なんだけど。
イラつく。馴れ馴れしいったらありゃしない。

首に回された腕を振り払ってにらんでみるけど

「んー?どうした?」

帰ってきたのはヘラヘラした笑いだけ。
おまけにまた首に手を回そうとするから

「チビのくせにやめてよ。首が痛い。」

思いっきり吐き捨てた。

団長は私より小さい。かなり。
男の人にとって女の人より小さいってのはかなり傷つくと思う。

「だってお前今にも逃げそうなんだもの。」

笑いながら話し続ける団長。
少しは怒ると思ってたから拍子抜けしてしまった。

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