哀し
 

「じゃあ明日は各クラスでダンスの練習な。」

団長の終わりのあいさつで次々と学年の係やら委員が部屋を出ていく。

30分も経ってるし。
カナ怒ってるかな、急いで戻らないと。
部屋を出ようとしてドアに向かったら

「一年代表ちょっと残って。」

前から憎き団長の声が。

聞こえない、私には聞こえなっかた。
さて帰ろう。

「あいみちゃーん?聞こえなかった?」
「マナミだバカ。自己紹介聞いてなっかたのかよ!」
「聞こえてんじゃん。残って。」
「いやだ。」
「も~わがままなんだから~」
「言い方キモイ」
「まあとりあえず座れよ。」

笑いながら椅子を指さす。
だめだ。この人全然言われたこと気にしない人だ。

はあ...

ため息をつきながら椅子に座る。



「悪かったな。なんか無理やりやらせてさ。」
「じゃあやめさせてよ。」
「それはちょっとね~。」
「あっそ。じゃあ友達待たせてるから帰るわ。」
「明日来いよ~?」
「気が向いたらね。」
「必ずな~」

ヘラヘラ笑いながら私を見る団長。
なんだこの人。意味わからない。
なに考えてんだ。

明日はすぐ帰ろう。
そう決めて私は部屋を出た。




< 3 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop