哀し

「まなみさん?どこいくんですかねえ?」

聞き覚えのある声と肩に回された腕。
そして自然とかがむ私の体。

「だ、団長。」

そう、私の天敵。

「すっげえ嫌そうな声だなお前。」
「まあ...」
「放課後の集まりもう終わったんだけど?」
「じゃあ帰ってもいいじゃん。」
「お前来なかったから俺と買いだしな。」
「いや、私これから用事あるし。」
「断れ。」

明らかに怒ってる。
ヘラヘラしたいつもの笑いがない。

「お前だれだよ?」

少し不機嫌そうな絢斗の声。

「こいつの先輩?」
「嫌がってんじゃねーか、離せよ。」
「それはちょっとね~」

ヘラヘラした返し。
そこまで怒ってないのかもしれない。

「カナちゃん、だっけ?」
「え、あ、はい。」
「ちょっと先に帰っててくれる?」
「え、あー。はい。」

え?ちょ、待ってカナ。

「愛美、頑張れ。」

カナは戸惑いながらも笑顔で絢斗と愁と歩いて行ってしまった。
カナの薄情もの!





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