哀し

先輩


「しつれいしまーす…」

会議開始の予定時刻から約20分がすぎていた。
会議室には…案の定誰もいない。

「帰るか。」

先生と話していたらこんな時間になってた。
帰ろう。そう思って後ろを向いて歩こうとしたら

「帰んの?」
「うっわ⁉びっくりした。」
「なんだよ。人の顔見て奇声とか失礼だろ。」
「見えなかった。」
「そりゃ後ろにいたからな。」
「先輩なんで残ってるんですか?」
「くるっていったじゃんお前。」
「えー、先輩待ちたがり。」
「なんだよそれ。」

会議室に響く私と先輩の笑い声。
なんだか不思議な感じがする。

「ほれ、メロンパン。」

差し出されたメロンパン
昨日私がリクエストしたもの

「食べかけじゃん。」
「おなかすいてた。」
「信じらんない。」
「遅れたお前が悪い。」

食べかけのメロンパンを口に運ぶ。
これって……

「間接キス」
「え?」
「やだ~俺後輩と間接キスしちゃった~」
「別に先輩との間接キスとか嬉しくないわ。」
「はいはい。」

笑いながらふざける先輩
私何考えてたんだろう。バカみたい。

「明日なに食べたい?」
「ん~…チョコ」
「おっ意外に乙女な選択。」
「馬鹿にしないでよ。乙女なんだよ私は。」
「あの大きさの買い物袋を軽々持ち上げるやつを俺は乙女と呼びたくない。」
「あのねっ…!」
「怒んなよ、怖えな今どきの女子高生。」
「先輩がふざけた事いうからでしょ?」
「でもまあ、お前はかわいいよ。」
「…なに急に。」
「黙ってれば。」
「やっぱバカにしてるでしょ!」

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