ねぇ、松風くん。



「じゃあ、今日は初日だから洗い物からお願いしようかな!明日から表に出てオーダー取ってもらうね!」


「あ、はい!」


洗い物なら家でも良くするし、初日からオーダー取るのは緊張するからちょうど良かった。



洗い場まで一緒に来てくれた綾菜さんは”女の子だし、手が荒れたら困る!”と、眉間にしわを寄せて、私専用で使っていいからとゴム手袋をくれた。


「オーナー、ありがとうございます!」


気遣いがとても嬉しくて、自然に笑顔が溢れてしまう。


「いいのよ!優ちゃんの笑顔はこっちまで笑顔になれちゃう。あ、優ちゃんはバイト中でも綾菜って呼んでくれていいからね。ほら、今バイト男の子ばっかりだから名前で呼ばれるのもなぁ〜って…オーナーって呼んでもらってるんだ。」



”やっぱり名前は好きな人から呼ばれたいじゃない?”そう言って笑う綾菜さん。


綾菜さんにはそんな相手がいるのかな。頬を染める姿が私から見てもとても可愛らしい。


「そうですね!」


私もいつか、松風くんに呼んでもらえる日が来たらいいな…なんて。
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