ねぇ、松風くん。



***



「……ふぅ。」



個人営業の小さなお店…とは言え、一度に2人掛け5席、4人掛け5席、カウンター5席の計35人は入れる店内。

しかも若者に超人気。


友達で、カップルで、はたまた若いママさんたちの集いの場として人が次から次へと入れ替わる。


よって、


「洗っても洗っても…なくならない。」



どんどん運ばれてくる食器、それを洗う私。永遠ループな気がする…。



「…佐々木さん。」


「あ、お疲れ様です。」


1人洗い物とにらめっこしていた私に洗い場の入り口から松風くんの声がして振り返る。


「お疲れ様。姉ちゃんがココア入れたから休憩しろって。ここ、俺代わる。」



ワイシャツを腕まくりしながら、私のすぐ側まで来た松風くんに、心臓はまたうるさくなる。
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