ねぇ、松風くん。
「あ、あの。
松風くん、ありがとうございます!」
さっき説明をしてくれたあと、お礼を言う暇も与えずに”後は姉ちゃんから指示もらって”と、仕事に戻ってしまった松風くん。
「…どういたしまして。」
一瞬、何に対しての”ありがとう”なのかとキョトンとした松風くん。
何に対しての”ありがとう”と捉えたかは分からないけれど、感謝しているという事が伝わってくれたならそれでいい。
「じゃあ、休憩させてもらいますね。洗い場お願いします。」
軽く頭を下げて松風くんに背を向けて歩き出す。
「…佐々木さん。」
そんな私に、再度 聞こえてきた抑揚のない声。急いで松風くんを振り返ったけれど声同様、その表情からは何を言われるのか全く想像がつかなくて。