ねぇ、松風くん。
ない頭で無表情な松風くんが、抑揚のない声でこれから何を言うのか予想してみたけれど…
うん…分かるわけない。
「…なんでしょう⁇」
軽く首を傾げて様子を伺う私に、
「さっきから、また敬語。」
やっぱり抑揚のない声で松風くんは答えた。
あ〜、知らないうちにまた敬語使っちゃってたのか。
「ご、ごめんね!気をつける!」
敬語は面倒くさいって言ってたっけ。しばらくは意識してなきゃ、また敬語になっちゃいそうだ。
「そんな必死に謝らなくていいよ。」
わ、松風くんが笑った。
私の必死さが面白かったのか、クールとも無愛想ともとれる松風くんがふんわり笑った。
「ま、松風くんが笑った…」
口をポカンと開けて目を丸くする私に”俺を何だと思ってるの。”って、少し拗ねてる松風くんがおかしくて私も笑ってしまった。
このあと飲んだ綾菜さんの淹れてくれたココアは、今まで飲んだどのココアより甘くて温かくて美味しかった。