ねぇ、松風くん。
言われてみれば確かに、
わざわざ振られたと思っている相手に自分から再度 声をかける…なんて普通しないのかもしれない。
「…姉ちゃんには関係ないだろ。」
「此の期に及んで…あんたッ」
「それに、佐々木さんが決めることだし。佐々木さんが今のままを望むならそれでいいんじゃねぇの。」
姉ちゃんの言葉を遮って、そう吐き捨てた俺は、先ほどのテーブルのオーダー票を無理やり押し付け、
「じゃ、またオーダー取りに行ってきますね、”オーナー”。」
「葵!あんたね〜!」
怒鳴る姉ちゃんの元を離れて再び仕事に戻った。学校でもバイト先でも、付き纏う佐々木さんの影。
この関係を解決させなければ晴れることのない霧が心に深くかかっている。
ーーーずっとモヤモヤしていた。