ねぇ、松風くん。


***


「ごめんな、佐々木!少〜しばかり重たいけど頼むな!…あと、テキトーに配っといて。な?」


顔の前で両手を合わせ、片目を開けて申し訳なさそうな”フリ”をする先生。


「はいはい。了解ですよー。」


1年の時から英語係の私はもうすっかり慣れたものだ。

英語の佐伯- サエキ -先生は27歳。

他の先生に比べて若くてスタイルも良く、かっこいいと女子生徒からの人気も高い。


しかし、その女子生徒たちは知らないだろう。実はこんなにも人任せで適当人間だという事を。


私が英語係で良かったと思う。他の女子生徒にこんな一面が知れたら大惨事。

いや、むしろギャップ萌えって言うパターンもあり得るのかな。


ワークをクラス全員分 抱え込んだ私に”じゃ、よろ!”と手をヒラヒラさせるこの男をいつか…いつか1発…。


と、思いながら職員室を後にした。
< 18 / 284 >

この作品をシェア

pagetop