ねぇ、松風くん。
”俺は見てるだけでいいや。”って言ってたっけ。
俺と違って人見知りもしなければ、気さくで人懐っこいくせに、変なとこ引っ込み思案だよな。
礼を言った俺に”それじゃ”と安倍さんは呼び込みに戻っていってしまった。
ーー優の知らないところで、優の貸し借りが行われていた。
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「……だ、だから菜穂に一緒に回ろって言ったら断られたんだ。」
軽く説明した俺に、安倍さんに断られた理由を理解してホッとした様子の佐々木さん。
「…だから、たこ焼きは俺に奢らせて。」
「…んー。ありがとう!」
まだ納得いかないと言いたげな表情をした佐々木さんは、思い直したように笑うと俺からたこ焼きを受け取った。