ねぇ、松風くん。
***
「菜穂、色々あってね!焼きそば買えなくて、それでたこ焼きを松風くんが買ってくれたの。」
”はい、これ菜穂の分”
そう言って差し出す私の手からたこ焼きを受け取りながら
「それより、その左手の可愛くないヤツは何?」
私の左手を見て毒突いた。
「か、可愛いもん!”うさピョコ”」
「”うさピョコ”…?」
松風くんと、射的で対決した私は物の見事にボロ負け。と言うより、才能を微塵も感じさせず……
それとは打って変わって松風くんは、私が必死に狙っていた”うさピョコ”のぬいぐるみ付きキーホルダーをたった3発で撃ち落としてしまったのだ。
「…松風くんに、もらったの!」
”えへへ”とニヤけた顔を見せれば
「…可愛くない。」
と、表情ひとつ変えずにたこ焼きを口に運ぶ菜穂。