ねぇ、松風くん。


「2名様ですね?お好きな席にお掛け下さい。」


入ってきたのは男子高校生2人組。

レジから1番近い席に座るとメニュー表を手に取って、何やらコソコソ話し込んでいる。


メニューを選んでいるのか?と、思いながらもたまに私に向けられる視線が気になって、もうオーダーを取りに行くべきなのかとオロオロしてしまう。


…ま、まずは水!


コップへ水を注ぎトレーに乗せた私が、男子高校生2人組の席へ運ぼうとトレーを持ち上げた時、


「……佐々木さん、あの席 俺が担当するから佐々木さん俺の代わりに裏で洗い物してくれる?」


いきなり現れた松風くんによって、持っていたはずのトレーを取り上げられてしまった。


「…え?でも、」

「いいから。」


なぜか分からず首を傾げる私に、松風くんは澄ました顔でそれだけ告げると、スタスタ歩いて行ってしまった。
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