ねぇ、松風くん。

ーーーーその頃 葵は


裏で洗い物をしていた俺は、バタバタと足音を立てながらやって来た姉ちゃんの

『この前 優ちゃんを狙ってた奴が店に来たわよ!』


と言う言葉で、一旦 洗い物を止めオーダーを取りに行くであろう佐々木さんの元へ急いだ。


俺が表へ出たとき案の定、お冷をトレーに乗せ今にもオーダーを取りに行くところだった佐々木さんを見つけた。


「……佐々木さん、あの席 俺が担当するから佐々木さん俺の代わりに裏で洗い物してくれる?」


佐々木さんの腕から半ば強引にトレーを取り上げ、それだけ告げれば


「…え?でも、」


佐々木さんは困惑の表情で俺を見上げる。そりゃそうだ。

本当なら、洗い場の方が忙しいしこんな状況でもない限り俺がやるべきなんだけど…。


「いいから。」


尚も強引に役割を交代させた俺は、そのままトレーを片手に男子高校生2人組の席へと歩き出した。
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