ねぇ、松風くん。
俺に気付いた男は、”またコイツかよ”とでも言いたげな顔を見せたが
…それは、こっちのセリフだ。
「ご注文はお決まりですか。」
「…あ〜、コーヒー2つ。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
今日は佐々木さんが出勤していることが既にバレている。どうにかこの男との接触を避けさせなければ……。
……って、あれ。
何で避けさせる必要があるんだ?
何も考えずに、当たり前のように会わせてはいけない!と、俺の脳が指令を出していた。
…そうだよ。連絡先とか教えろって言われたら佐々木さん、きっと困るから。
そうなれば、その後のバイトが手につかないくらいテンパるだろう。
だから、そんな事が起きないように俺はこんなにも会わせない為に必死なんだ。