ねぇ、松風くん。


あれから、注文通りコーヒーをテーブルに並べ”ごゆっくりどうぞ”と営業スマイルを浮かべた俺は


「……手伝うか。」


俺の代わりに洗い物をしているであろう佐々木さんを手伝うべく、洗い場へと向かった。


あと10分もしたら、男子高校生2人組もコーヒーを飲み干して帰る頃だろう。それまで、佐々木さんを洗い場に足止めして、時間を見計らってレジにでも回って貰えばいい。


そんな考えで、向かった洗い場。

俺の目に飛び込んできたのは…


「…源さん?」

1人で洗い物をする源さんだった。

「あ、葵くん。お疲れ!」

「お疲れ様です…ってか、1人ですか?」


俺の質問に”他に何か見える?”と、冗談っぽく笑う源さんを見ながら、俺の脳は冷静に危険信号を送ってくる。


「佐々木さん、いませんでした?」


俺の質問に、”あぁ、佐々木さんなら…”とまさかの発言をした源さんを残して再び表へと急ぐ俺。


バイト中に何してんだ、俺。

つーか、俺ってこんな必死キャラだったっけ?自分で言うのもあれだけど、もっとクールぶって生きてきたのに…

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