ねぇ、松風くん。
*新入り君の一目惚れ
***
それは、
「優ちゃん!ちょっといい〜?」
「は〜い!」
ある日、突然やって来た。
裏で洗い物をしていた私は、綾菜さんの声に洗い物を止め、控え室へと向かった。
控え室には、綾菜さんの他に松風くんもいて、それからもう1人…見たことのない男の人。
「さ、揃ったわね!」
そう言った綾菜さんは、男の人の肩をポンと叩いて
「今日からバイトしてもらうことになった早川 佑樹 - ハヤカワ ユウキ -くん。」
そう紹介すると、”一言どうぞ”と早川くんに振った。
「…早川 佑樹。よろしく。」
そう言って差し出された手は、真っ直ぐ私に向かって伸びていて…
これは1人ずつ握手する制度なの?と、疑問に思いながらもその手を握った。
「ぅわ!」
次の瞬間には、グッと手を引っ張られて、気づけばシトラスの香りに包まれている私。