ねぇ、松風くん。
「な、な、なに?」
頭は真っ白になっていて、それでもこの場に松風くんがいる事を思い出した私は必死に早川くんの腕から逃れようと身をよじる。
「…名前は?」
「…へっ?」
私を解放しながらそう質問してくるのもまた早川くんで、もう状況について行くのに必死。
「さ、佐々木 優…です。」
ふぅ〜ん、と意味ありげに笑う早川くんは、黙っていれば爽やかな好青年。
しかし、早川くんの笑顔は意地悪全開で…
「俺の彼女にしてやるよ。」
「…っ?!」
「は?」
「わーお。」
意味不明な言葉を発した早川くんに絶句する私と、驚きの声を上げる松風姉弟なのであった。