ねぇ、松風くん。


早川くんがいなくなった後、綾菜さんは厨房に呼ばれて出て行ってしまった。


その後を追うように松風くんも”…気をつけなよ。”と、意味深な発言をして持ち場に戻ってしまった。


残された私は、呆然とその場に立ち尽くす事しか出来ず…。

どうせバイト雇うなら女の子が良かったな、なんて何とも言えない気持ちを抱えていた。


「あー…。モテ期?私…モテ期?」


誰もいない控え室。
誰からの返答もない問いかけ。


今まで、こんな短期間に告白やナンパをされた事なんか1度だってなかった。


ドッキリにしては長期に渡って大掛かりすぎるし…本当にしては、到底信じ難い。


それに…


「…松風くんは、全然 読めないし。」


1番好かれたい相手との距離は今ひとつ。縮まったように見えて、実は何1つ進展してない。
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