ねぇ、松風くん。


「…見て分かんねぇ?いいとこだったんだけど。」


不機嫌丸出しの早川くんと、


「俺はこれから犯罪でも起こす気なのかと思ったよ。」


こりゃまた不機嫌丸出しの松風くんの睨み合いが始まってしまった。


この2人、なぜか犬猿の仲。
歳も1つしか違わないし、同じ男同士なんだからもっとお互い寄り添えばいいのに。


「……ったく。優さん続きはまた今度。」


そう言って私の頭をポンポンと軽く叩くと、早川くんは松風くんの横を通って出て行ってしまった。


まだ、教えることあったのにな。
また明日 教えるしかないか。


「ねぇ、佐々木さん。」

「…はい!」


いつもの数倍 冷たい松風くんの声色に自然と背筋が伸びる。顔からは読み取れないその感情を、声からヒシヒシと感じる。


「……俺、言ったよね?気をつけなよって。」


間違いない。

松風くんは、怒っている。
それもちょっとやそっとじゃない、言うなれば激おこだ。
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