ねぇ、松風くん。
なーんて、都合の良い事は起きるわけないじゃん?
今日も絶好調に、フルシカトだよ。
「……優ちゃん、葵と何かあった?」
「んー。なんか怒ってるみたいで。」
洗い場でお皿を拭きながら答える私に、綾菜さんは”はぁ?葵が優ちゃんに?なんで?”と、分かっていたら苦労していない!と言いたくなるような質問を繰り出した。
「…全く、葵のやつ。シカトなんて男気に欠けまくり!信じられない。」
綾菜さんの怒りは、もしかしたら松風くんの怒りよりも激しく燃え始めてしまったかもしれない。
「そうだ…おつかい、頼もうかな。」
「え?」
少し考えたように遠くを見つめていた綾菜さんは、ニヤリと笑って呟いた。
「葵と2人で行ってきて。ちょうど買い出しが必要だったのよ〜。」
”で、ついでに仲直りして来てね。”
そう付け足して笑う綾菜さんに、勝てる気がしないのはきっと松風くんも同じだと思う。