ねぇ、松風くん。
そう言われてしまえば確かに。
私は警戒心に欠けてしまっているのかもしれない、と思わずにはいられない。
でも、普段から警戒心丸出しで生活するなんて何だが自惚れてるみたいじゃん。
「……以後、気をつけます。」
強気な松風くんにタジタジの私は、下を向いて松風くんの視線から逃れるようにそれだけ呟く。
「…ん。分かればいい。」
そう言って、私を解放した松風くんは再び買い物袋を持つと”寒い。早く戻ろ。”と、歩き出してしまった。
いやいやいやいや!!
お兄さん、ちょいと!!
何その何もなかったみたいな雰囲気。抱きしめられてドキドキした私の心拍を返して欲しい。無駄に心臓は労力を使ったことだろう。
つまり、早川くんにベタベタされてるのに、全く警戒心がない私を見ているとバカすぎて腹が立つ。
そういう事ですね、松風くん。
なーんだ、てっきり少しはヤキモチ妬いてくれたのかな?なんて期待した私の思いは見事に打ち砕かれてしまった。