ねぇ、松風くん。
「はい、じゃあ交換〜☆」
そう言って差し出された菜穂のマフィンはカラフルなチョコスプレーで可愛らしくデコレーションされていた。
「可愛い〜!ありがとう。」
私のクッキーを見つめながら”お互い上出来だね〜”と笑う菜穂につられて笑顔になる。
「優ちゃん!」
教室へと向かっていた私は、廊下の向こう側から走ってくる潤くんの声に、菜穂のマフィンから視線を上げた。
「潤くん、どうしたの?」
「…3組、お菓子作ったって聞いたから優ちゃんの貰いに来た!」
ニカッと歯を見せて笑う潤くんは、相変わらずエクボが可愛い。
「貰ってくれるの?」
余ってしまうのは悲しい気もしていた私は、潤くんにそう尋ねた後
「つーか、優ちゃんのお菓子 貰えるなんて幸せ!」
そう微笑む潤くんに”ありがとう”と笑いながら星型のクッキーを手渡した。
何かにつけてすぐに私に会いに来てくれる潤くん。どうかこの先、私なんかよりもずっとずっと潤くんの事を想ってくれる人に出会えますように。