ねぇ、松風くん。
やっとバイト終了。
着替えを済ませた俺と佐々木さんは、店の入り口で姉ちゃんを振り返る。
「優ちゃんお疲れ様〜!」
「綾菜さん、お疲れ様でした!」
敬礼し合う2人を、何やってんだ…と冷めた目で見れば
「あー、松風くん呆れてるでしょ!」
少し拗ねたような佐々木さんの声に、思わず笑ってしまう。
「別に、呆れてない。」
俺の返事に”ほんとに?”と、疑いの眼差しを向ける佐々木さんに
「帰ろ、送ってく。」
そう呟けば、一瞬 固まった佐々木さんはパチパチと瞬きを数回繰り返し
「……でも、家 逆方向だし!」
やっぱり、首をブンブン振って素直に頷いてはくれなかった。