ねぇ、松風くん。
俺たちのやり取りを、ただひたすらニヤニヤ眺めていた姉ちゃんは、
「優ちゃん、送ってもらいな!どうせ葵なんてそれくらいしか使い道ないし。」
と、ここに来て初めて発した言葉が弟への暴言。
どうなってんだよ。本当、親の顔が見てみたい。(←お前の親だよ。)
「…ほら、どうすんの?」
とりあえず姉ちゃんの言葉はスルーして、まだ悩んでいる様子の佐々木さんに声をかければ躊躇いながらも”お願いします”と頭を下げた。
「じゃ、気をつけて帰ってね!」
”葵、くれぐれも宜しくね!”そう言いながら俺たちを見送る姉ちゃんに、笑顔で手を振る佐々木さん。
いつものバイト終わりとは逆方向に進んでいるせいか、どこか落ち着かない俺に佐々木さんは”あ!そうだ!”と言葉を発した。