ねぇ、松風くん。
もしこれが、仮に私じゃなくて他の子でも、同じ言葉をかけて、同じ優しさで手を差し伸べるのが松風くんなのだろう。
そう思うと、胸のどこかがチクリと痛んだ。
「ほら、優ちゃん早く〜!」
気づけば私より先に階段を上り出していた高瀬くんの声で我に返る。
「は、は〜い!」
……他の子に同じ優しさで接して欲しくない、なんて。
これは完全に恋に落ちている。
始まりは一目惚れだったのに、今ではすっかり松風くんの優しさにやられているみたい。
そんなことを考えながら、どんどん遠くなる松風くんたちを追いかけて階段を上った。