ねぇ、松風くん。
「…ごめん、ボーッとしてた。」
「大丈夫?クッキー苦手だったかな?」
急に困った顔をして、俺の顔を覗き込む佐々木さんの無自覚さは困りものだ。
「その顔…やめて。」
「…えっ?ど、どの顔?ごめん、ひどい顔してた?わ、忘れて!今の顔 忘れて!」
俺の一言に、自分がどんな顔してたか知らない佐々木さんは必死に忘れてくれと頼んでくる。
出来る事なら忘れたいけど、脳裏にしっかり焼き付いて離れない。
「…無理っぽい。」
「そ、そんなぁ〜!」
困った顔をしたと思ったら、焦った顔になって、今度は泣きそうな顔をしている佐々木さんに、俺はただ笑いたくてしょうがない。