ねぇ、松風くん。


困った顔をする佐々木さんを見ていたら、何でか分かんないけど無性に抱きしめたくなった。


あんな顔、早川の前でしたら……腹が立つから考えるのやめておく。


「もう、寒いから家入れよ。」


いくらコートを着て、マフラー巻いて、手袋してたって制服のスカートは見てて寒々しい。


「…うん。送ってくれてありがとう。」

「ん。」

「松風くん、気をつけて帰ってね!」


玄関のドアを開けて、何度も振り返る佐々木さんにまた笑いそうになるのを堪える。


「風邪ひくから、もう入れって。」


俺の言葉に笑顔を返して手を振ると、佐々木さんは家の中に入っていった。

……任務完了。
無事に送り届けたし、帰るか。
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