ねぇ、松風くん。
*会いたい理由。
***
もう12月中旬。
学生たちは明日から冬休みらしい。
「ねぇ、葵。」
「んー。」
久しぶりに姉が実家に帰ってきたと言うのに、スマホ片手に空返事をする弟。
「…あんた、いい加減気付いてるんでしょ?」
「…………何が。」
あ、気づいてるなこりゃ。
優ちゃんを家まで送らせた次の日から、明らかに優ちゃんへの態度が今までの葵とは違うような気がしていた。
かと言って進展はなく、2人の関係は今まで通りをキープしている。
「…好きなんでしょ、優ちゃん。」
ニヤリとわざと口角をあげて笑えば、軽く私に視線を向けた葵は、
「……ほっとけ。」
それだけ言うと再び画面へと視線をおとした。
何がほっとけ、だ。