ねぇ、松風くん。
***
「松風くん、ありがとう。」
「どういたしまして。」
2-3と書かれたプレートの下。松風くんから英語のワークを受け取る。
「おかげで助かった。重いのに…ごめんね!」
「どうせ隣のクラスだし。通り道。…それに俺も一応 男だから。」
”佐々木さんよりは力あると思うけど。”って付け足して意地悪く笑う松風くんに胸はまた静かにトクンと音を立てた。
「…そ、そうだよね!ありがとう。」
「ん、それじゃ。」
「またね、優ちゃん。」
片手をあげた松風くんと、ヒラヒラと手を振る高瀬くんに私も手を振りたい衝動に駆られるが、腕の中の英語のワークに阻止された。
代わりに軽く笑顔を返して見送る。