ねぇ、松風くん。
「配るんでしょう?手伝うよ。」
腕の中の重みが半分になったと同時に、すぐそばで菜穂の声が聞こえた。
「あ、うん!ありがとう。」
ワークに落としていた視線を菜穂に向け、微笑みを返したのもつかの間
「後で、さっきの2人について…ゆ〜っくり聞かせてもらうから、ね?」
菜穂から帰ってきた笑顔は、悪魔そのものだった。
もちろん、この後、授業が終わった後にすっ飛んできた菜穂に根掘り葉掘り聞かれ…
バイト先のかっこいい人が、実は同じ学校のしかも隣のクラスだったと白状させられたのは言うまでもない。
この話を聞いた菜穂の反応は”やばい、楽しくなりそうだね!”であり、私は少し意味が分からず首をかしげるしかなかった。