ねぇ、松風くん。


違う違う。

松風くんが無邪気に笑っていることに感動して見惚れている場合じゃない。


「…俺、着替えてくる。って言ったじゃん。」


「え……?」


「それなのに、佐々木さんが一緒について来るって言うから少し意地悪した。」


そう言って笑いがおさまらない様子の松風くん。


「か、か、からかったの?酷いよ!松風くんのバカ。」


「ごめん、悪かったって。」


やっと笑いがおさまってきた松風くんは、あまり反省の見られない声色でそう告げると”今度こそ着替えて来る。”と、控え室の中に入って行ってしまった。

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