ねぇ、松風くん。
確かに、松風くんはあの時 着替えて来るって私たちに背を向けた。
それなのに、なにを思ったか私はその背中に向かって一緒について行くと言った。
なるほど、思い返せば恥ずかしい。
だからあんなにも必要以上に松風くんは確認してきたんだ。
【「いや、俺は別にいいけど。佐々木さん…俺と一緒でいいの?」】
俺は別にいいけどって……。あれ、つまり私なんか眼中にないから、同じ空間で着替えようが何しようが別に、ってこと?
と言うよりも、私はこの問いかけに対して、意味を理解していないにしてもYESと答えてしまった。
………我ながら本当にバカだ。呆れてものも言えないとはこの事か。松風くん…引いてないかな。
「ほぉ〜、あの葵がねぇ〜!」
「っ!綾菜さん?」