ねぇ、松風くん。
つい10分前くらいに、美香ちゃんから電話があり”先に部屋に入ってるね♡116室だから!”との事だった。
受付に116室に合流する事を伝えれば、アッサリと2人分のグラスを差し出しながら”116室は突き当たりになります、ごゆっくりどうぞ”と、私たちと変わらないくらいの男の子が爽やかに微笑んでくれた。
グラスに適当に飲み物を注いだ私たちは、ついに116室の前。
「んじゃ、後は頑張って!」
菜穂は私を振り返ってそれだけ言うと、ガチャっと部屋のドアを開けて入って行ってしまった。
「…ふぅ…」
1つ息を吐いて自分を落ち着かせた私は、菜穂に続いて半分投げやりで部屋に入る。