ねぇ、松風くん。


潤くんは本当に私のことを…なーんて、勘違いしてしまいそうになる。


あー、だめだめ。
合コンの空気に呑まれちゃいそう。


これだから合コンは苦手。
とりあえず誰でもよくて声をかけてくるんでしょ!と、思ってしまう私にとって合コンは本当の恋ができない場所。


菜穂にコッソリ視線を向ければ何やら隣の男の人と楽しそうに話している。


…1人で帰るしかないなぁ。


「優ちゃん?…どうかした?」


どうやってこの場から逃げ出そうかと挙動不審になっていた私に、すかさず潤くんは顔を覗き込んでくる。


「あっ…えっと、ちょっとトイレ行ってくる!」

それだけ伝えると、一目散に部屋を出た。


「あ、優ちゃん!」


後ろから聞こえた潤くんの声からして、きっと私がトイレなんかじゃないことくらいバレているだろう。

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