ねぇ、松風くん。
私の質問に一瞬だけ視線を下げた松風くんは、
「んー、俺 人数合わせに呼ばれただけだし。疲れたから一緒に帰ろうと思って出てきた。」
軽くワックスでセットされた赤茶の髪を右手でくしゃくしゃと乱した。
「あ、そうなんだ。私も人数合わせに呼ばれたんだけど、合コン苦手で。」
ニヘラと笑って見せれば”だと思った”と、松風くんは苦笑いして
「…行くか。」
と、出口へ歩き出した。
「ど、どこ行くの?」
「一緒に帰ろうと思って出てきた。って、俺言ったじゃん。送ってく。」
「…っ」
この人はどこまで私をときめかせれば気がすむのだろう。…こんな事されたら、変に勘違いしてしまいそうになる。