ねぇ、松風くん。
「松風くんは、優しいよね。」
「どこが。」
どこがって、今日だってこうしてわざわざ家まで送ってくれたじゃん。
まだ6月の下旬。
日が暮れるのが遅いこの季節、私なんか1人で歩いてても何ら問題はない。
結局、家の前まで送ってくれた松風くんはやっぱりいつも通りの抑揚のない声だったけれど、話の合間でフワッと時たま見せる笑顔が私の胸を熱くさせた。
「松風くんは…あれだ!優しさで出来てる!」
「っぶ…何だそれ。どっかの薬のキャッチコピーかよ。」
「あ、笑った!」
初めましての時から比べて、自然に笑ってくれる回数も増えて、松風くんが笑ってくれるたびに私も笑顔を貰ってる。