ねぇ、松風くん。


バスケは苦手だけど、菜穂と一緒なら心強い。救いようのない運動音痴というわけでもなければ、神がかった運動神経を持っているわけでもない私。


足手まといには、ならないようにしなきゃ。


そう、もうすぐスポーツ大会がある。今日のHRの時間に種目を決めると前々から担任が張り切っていたのを今更思い出しながら窓の外に視線を向ける。


「葵〜!パスパス!!」

「走れ、直斗!」


窓の外では、4組の男子が体育の授業中。松風くんと高瀬くんの声が響いていた。


……もちろん、私が先生の言葉に耳も傾けずぼけ〜っとしていた原因である。
< 93 / 284 >

この作品をシェア

pagetop