君からのアイラブユー
――ブーブーブーブーブー。
無視しても鳴り続けるバイブ音。あともう少しでやり残していた予習の部分が終わるのに。
――ブーブーブーブーブーブー。
私はパタンとノートを閉じて、机で響いているスマホを手に取った。
『矢吹くん、やっぱり私の話を聞いてなかったんですね』
怒りを通り越して悲しい。あれだけちゃんと説明したのに電話してくるし、今の時間は夜の8時。
矢吹くんのメールは交換してからすでに6通届いていて【なにしてる?】【俺はいま晩ご飯】【ちなみにカレー。安達は福神漬け入れる?俺はらっきょ派(゜∇^d)!!】と内容のないメールにもちゃんと返信をしたのに。
『お、安達?今時間ある?』
『時間はありません。矢吹くんのせいで勉強が止まっています。それよりもう一度注意事項を言うので今度はメモを……』
『そんなことより今すぐ七戸駅に来れる?』
『そ、そんなこととは?矢吹くんあなたはいつも私の話を全然……』
『渡したいものあるから来て』
『……』
あぁ、分からない。誰か矢吹くんについて記載されている辞書はありませんか。そして通訳の方はいませんか?