君からのアイラブユー
◆4◆ 「計算式はどれですか?」
それから家に帰ってすぐ勉強机に向かったけど全く気持ちが切り替えられない。大好きな理数系の問題集を開いてもペンは問1で止まったまま。
「はぁ……」
おかしい、おかしいです。矢吹くんに対してイライラしてるのはいつものことなのにいつもとは違う。
恐らくこれはイライラではなくモヤモヤ。まるで霧が出てきたみたいに心が晴れない。こんなこと今までなかったのに。
結局私はその日、遅れている勉強に手を付けないまま寝てしまった。
「ねぇねぇ、私今朝見ちゃったんだけど」
次の日の学校。朝から一部の生徒が盛り上がっていた。私はいつも通り背筋を伸ばして1限目の授業の準備。
「ほら例の先輩たち。なんか学校辞めてから見かけなくなったけど今日学校の周りうろうろしてたよ」
「あぁ、ってか先輩たちってなんで学校辞めたんだっけ」
「さぁ?普通にイケメンでいい人だったのにね~。辞めた時けっこうショックだったし戻ってきてくれないかなぁ」
そんな噂話でうるさい中、私はカバンに入っているスマホを開いた。画面は初期設定のまま昨日から変わってなくて、私はまたため息をついてカバンに閉まった。
いつもなら既に3件は届いてる矢吹くんのメールは昨日から1通も送られてきていない。
いつも寝る前には【もう寝るー】朝起きた時には【まだ眠いー】などと返信に困る内容で送ってくるのに。
昨日の私の態度がまずかったのだろうか?
いや、私は間違っていない。でも矢吹くんを置いて一人で帰ってしまったし………。それに今日はまだ学校には来ていないみたいだ。