君からのアイラブユー
授業が始まっても私はただ黙々と黒板に書かれた文字をノートに写すだけだった。私以外真面目に授業を受けていない教室で「誰か質問がある人……」と先生が私を見る。
本来質問がなくても礼儀として2、3個用意しているけど今日は何も浮かばない。先生は少し寂しそうにまた黒板に向かった。
私の頭は今矢吹くんのことでいっぱいだ。
スマホだっていつの間にかポケットに入れてしまってるし、窓からは矢吹くんが登校してこないか何度も見てしまう。
挙げ句の果てには【学校に来ないんですか?】とメールまで自分から送ってしまった。
いまだに返信はないし、もしかしたら学校に来ないんじゃなくて来れないとか?
風邪でもひいて高熱で苦しんでいたらどうしよう。
もう1度メールを送ってみるべきか……いや、無視されているだけかもしれないし返信が来ていない内にもう1通送るなんて催促(さいそく)してるみたいじゃないか。
「あの……質問とかありませんかね……?」
かき消されそうな先生の声は私には届かず、いつの間にかノートにも矢吹くんにメールをするべきかどうかの計算式が書かれていた。