君からのアイラブユー
「少し痛いかもしれませんが……」
保健室に先生はいなかった。私は矢吹くんを座らせて顔や手を消毒液で手当てした。口の中も切れてるようだし病院に行くように言ったけど矢吹くんは無言。
「どうして喋ってくれないんですか?」
腫れている箇所に湿布を張りながら不安だけが募る。
「……私のこと、嫌になったんですか?」
何故かそんな言葉が出てしまった。すると矢吹くんは驚いた顔をしてやっと口を開いてくれた。
「ち、違うっ!ただこんな姿安達に見られたくないしカッコ悪いだろ。顔が腫れてるとか……」
それを聞いて悩んでいたことが吹き飛んでしまった。同時に少し笑みもこぼれる。
「矢吹くんはカッコつけなんですね」
「ばっ、あ、当たり前だろ!好きなヤツの前ではよく見せたいじゃん」
つまり矢吹くんはずっと私の前でカッコつけていたということですか。あまり印象にはないけれど考えると可愛らしくも感じる。
「でも私カッコ悪いところもみたいです。その傷の理由も知りたいです」
「……喧嘩したんだよ」
なんとなくそうかな…とは思っていた。明らかに転んだ傷ではないし誰かに何かをされないと顔だって腫れない。
誰とどこで、なんて聞いても矢吹くんは言わないだろうし、男の子はみんな喧嘩をするものなのだろうか?口喧嘩以外の喧嘩なんてテレビや映画でしか見たことがないけれど。