君からのアイラブユー
◇5◇ 「あの、矢吹くん」
矢吹くんのおかげで午後の授業はとても有意義に過ごせた。質問も沢山できたしノートを写すペンも軽やかだ。
もしかしたら勉強と矢吹くんは同じ計りの上にいるのかもしれない。今まで矢吹くんの計りの部分は努力だったり向上心だったりその気持ちをコントロールすることは容易かった。
しかし勉強と矢吹くんを計りにかけると少し傾いて矢吹くんの方が重くなる。
それで戸惑ったり混乱することもあるけど、大切なものは絶対捨てるなと母から教わったことを思い出した。
「あーうめぇ、やっぱりここのたい焼きは世界一旨い」
学校帰り、また仲よくベンチに座りたい焼きを食べていた。勿論中身は粒あん。
「矢吹くんってハマるとずっとそればかり食べる人ですか?」
「んーそうかも」
「ではあれから毎日らっきょう入りのカレーを食べているんですね」
「な、なんで分かったんだよ?」
まだまだ分からないことだらけだけど、だんだんと矢吹くんのことが理解出来るようになった気がする。
矢吹くんについての辞書がないなら自分で作ればいい。
「もう1つ一緒に食べますか?私がお金を出します」
「マジ?一緒に?」
穏やかな空気が流れる中、それは突然現れた。