君からのアイラブユー
「よー矢吹。今朝はどうも」
黒い影がゆっくりと私達に忍び寄る。振り返るとそこには数人の男性の姿。顔には矢吹くん同様、真新しい傷が何ヵ所かあって私はすぐに勘づいた。
「なになに、仲よくデートですか?いいねぇリア充じゃん」
その中でも真ん中に立っている男性がやけに偉そうにしていた。矢吹くんはその人を見るなりどんどん険しい顔になって、一歩前に出る。
「なんだよ、まだ俺になんか用?」
きっと矢吹くんと喧嘩をしたのはこの人達だ。相手は3人もいるしどうしよう……。私が一人あたふたしていると矢吹くんは自分の背中で私を隠した。
「つーか朝から思ってたけどなんでタメ口?俺ら先輩だろ?敬語使えよ」
「は?学校辞めたんだから先輩じゃねーし」
真ん中の人は周りにいる人達から「後藤」と呼ばれていた。先輩ってことは私達の学校にいた人なのだろうか。
私はクラスメイトはおろか、上級生の名前や顔すら把握していないから……。
「ってか俺らお前のせいで学校辞めることになったんだよね。どう責任とってくれんの?」
「……」
「俺もこいつらもすげー楽しく学校生活送ってたのに台無し」
話がよく分からないけど……誰か人を呼んだ方がいいだろうか。たい焼き屋のおじさんはなんだか迷惑そうに見てみないフリをしているし。