君からのアイラブユー
近くの公園に移動した私達は自動販売機で買った水を飲んで少し落ち着いた。
「安達、ありがとな」
先にお礼を言ったのは矢吹くんだった。
「い、いえ私はなにも。思ったことを言っただけで別に……」
さっきは必死だったから自分がなんて言ったのか覚えていない。私はただ矢吹くんのことを悪く言われたのが悔しかっただけ。
「さっきもだけどあの時、犯人は俺じゃないって先生に言ってくれたのは安達だろ?」
そう、私は何故か次の日犯人にされてる矢吹くんを知った。当時は名前まで分からなかったけど『あの人は犯人じゃない、私と一緒に学校を出た』と各先生に報告しに言ったんだ。
同時にバットを持ってる怪しい生徒もいた、名前は後藤と言われていたことも報告した記憶がある。
証拠がないから、と言われても矢吹くんだけは犯人ではないと学校を出た時間などをまとめた紙まで提出したっけ。
「あの時、停学処分か退学処分かどっちかだって言われて。もうなんだっていいと思ってたら急にどっちもなくなってさ」
「……」
「あとから聞いたらB組の安達芽衣子が報告書まとめてきたって。それでどんなヤツだか見に行ったらさ……安達、俺になんて言ったか覚えてる?」
矢吹くんは当時を思い出すようにプッと笑った。
私は記憶の糸を辿るようにあの日のことを考えた。確かあの時不機嫌そうに私の前に立って現れた矢吹くん。
あぁ、犯人にされそうになってたのはこの人だと気付き、なにも言わない矢吹くんの横を通りすぎた。
そして私はこんなことを言ったんだ。
「「もっと自分を大切にして下さい」」
矢吹くんと私の声が重なった。