君からのアイラブユー
「矢吹くん。私も矢吹くんの世界に入りたいのですがいいですか?」
キミはとても難しくて、なかなか正しい道にたどり着けない難攻不落の迷路みたい。
「安達……」
「矢吹くんといるととても楽しいです。たくさん一緒に笑っていたいです」
その時、公園の噴水が勢いよく噴射して空には小さな虹がかかっていた。矢吹くんはそっと私に近付いて照れながら右頬に触る。そして――。
「何をするんですか」
私は矢吹くんの顔を手でバシッと制止した。
「え、え??」
矢吹くんの行き場に困った手が宙に浮いていた。危なかった。つい雰囲気に飲まれてしまうところだったのです。
「私、前にお付き合いする人は結婚する人と言いましたが、それまでは純粋なお付き合いをすることも条件なんです」
「純粋な付き合いって……?」
「だからその、結婚するまでは何もしないということです」
昔はそれが当たり前だったのにどうしてみんな気軽にそういうことをしてしまうのか私には謎だらけ。
「え、待って。それってキスとか諸々……?」
「です」
諸々とは一体なんだろう。
また恋愛系の本を探さなければいけない。少し恥ずかしいけど今度は書店の人に聞いてみよう。聞かぬは一生の恥と言うし。
「……はぁ、まぁいいけどな別に。こうして一緒にいられるだけで」
矢吹くんは口を尖らせながらもニコリと笑った。
「そんなに私が好きですか」
「うん、超好き、マジで好き」