君からのアイラブユー
矢吹くんは私のことが好きらしい。
すごくすごく好きらしい。
それを真っ直ぐに伝えてくれることが何より嬉しい。
「矢吹くん、手繋ぎます?」
私はそっと手を差し出した。
「えぇ!?いいの?だってさっき……」
見た目は少しヤンチャで誤解されることも多いけれど、矢吹くんは私にとって大切な人になりました。
「手を繋ぐのはいいんです。嫌なら強制はしませんが」
「繋ぐ!」
ギュッとされた手は暖かくて矢吹くんの鼓動が私にまで移ってなんだか恥ずかしい。私達の並んだ影は仲良く夕焼けに刻まれていた。
「~~♪♪」
上機嫌で鼻唄を歌う矢吹くんを見て私はハッと大事なことを忘れてた。
「でも矢吹くん。こんな時に申し訳ないんですが1ついいですか?服装や生活態度は矢吹くんらしいということで多目にみますが進級できない人はさすがに嫌です。まず高望みせず全教科50点はとれるようにしましょう。明日から私がみっちりとスケジュールを組んで教えるのでそのつもりでお願いします」
「え……」
矢吹くんの赤点問題が残っていた。もう少し早く気付いていたらあんなに悲惨な中間テストにはならなかったのに。
でも大丈夫。私がいれば矢吹くんを留年になんてさせない。
「はぁ……」
矢吹くんが一気に落ち込む中、私はもう1つ矢吹くんに言っていないことを思い出した。
これを言ったらキミはどんな反応をするだろう?
少し背伸びをしてそっと矢吹くんの耳に囁く。
「矢吹くん、あなたが好きです。私とお付き合いしてもらえますか?」
【君からのアイラブユー】 END。