君からのアイラブユー
◆2◆ 「逃げたくなります」
それからというもの矢吹くんはことあるごとに私の前に現れた。授業が終わればチャイムと共に現れ、放課後は一緒に帰ろうと誘ってくる。
――〝鬼神の矢吹゛
何故か彼にはそんなあだ名があり、鬼神について調べると【超人的な能力をもつ存在で主に化け物などをいう】と記載されていた。
あぁ、だから私には分からないことだらけなんだ。
「あの矢吹くん」
今日の昼休み。ムシャムシャと視線を送ってくる生徒達を睨みながら矢吹くんは学食のパンを食べていた。
周りはやべーっとすぐさま目を反らしているが、
私は矢吹くんをジーッと見続けた。何故なら彼はどこからか椅子を持ってきて私と向かい合わせで昼食を食べているからだ。
「はっきり申し上げるとすごく迷惑なんですが」
私の昼食はいつも持参しているおにぎりが2つ。中身は梅と鮭。おにぎりは片手で食べられるしその時間はノートの見直しをすると決めている。
なのに私の机は矢吹くんのパンの袋や飲み物が散乱していて、とても勉強なんて出来ない。
「パン食う?」
「……」
彼に私の言語が通じないのだろうか。
こんなにイライラしてるのは高校受験の時に自宅前の下水道工事の音で悩まされたとき以来だ。