月、満ちる夜に
友達は、わたしの視線の先の人物に目をやって、不思議そうな顔でわたしを見た。
若干、呆れたような、違和感のある表情だ。
「伊達君のこと?」
伊達っていうんだ?
「転校生?」
わたしが問うと、今度はひどく驚いたように唇が動いた。
「あんた、……頭大丈夫?」
「ちょっと、どういう意味よ?」
笑いながら友達の言葉を否定したが、どうやらわたしの言葉はさらに彼女を混乱させるものだったらしい。
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